さかうえ接骨院 さかうえ接骨院

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コラムColumn

モンゴルでの活動 ~ JICA草の根技術協力事業 ~

2024.03.27

みなさん、日本の伝統医療が海外で普及されていることを知っていますか。

私たち接骨院を開業する国家資格、いわゆる『柔道整復師』はmade in Japan の医療です。

そんな医療技術が世界の困っている人の助けになり、さらにその国で新しい担い手が育っています。

私・阪上哲哉は、このプロジェクトに微力ではありますが関わらせていただき、その出来事を自分なりに書き記すことにしました。

 

【目次】

1.プロジェクトのはじまり

2.モンゴルに受け入れられた理由

2-1.風土

2-2.医療インフラ

3.世界を志した動機

4.選ばれてから渡航まで

5.モンゴルでの活動

5-1.ドルノゴビ県までの移動

5-2.バグ医師への講習

5-3.指導者育成のモンゴル人

5-4.求められる日本の技術

5-5.モンゴル国立医療科学大学

6.プロジェクトの成果

7.あれから数年を経た私

 

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プロジェクトのはじまり

柔道整復師は、スポーツの名が入った唯一の医療資格。私もラグビーのスポーツトレーナーをしていますが、柔道、サッカー、野球、陸上、水泳と、さまざまな競技のメディカルサポート、つまりコンデショニングケアをしています。

そんな競技のひとつに大相撲があり、元横綱・朝青龍がその素晴らしさを知り、母国にも普及させてほしいと、国家プロジェクトまで発展しモンゴル国での活動が始まりました。

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モンゴルに受け入れられた理由

なぜ、柔道整復師なのか。医師ではなく、看護師でもなく、なぜ、柔道整復師が海を渡ったのだろうと思いませんか。それは、以下のような理由があったからです。

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一つ目の理由は、風土です。

モンゴル国の面積は約156万㎢と広大であり、日本の約4倍に値します。その一方、人口は日本の40分の1の約340万人ほど、およそ横浜市の人口くらいです。つまり、国土の大部分は草原や砂漠の大自然であり、隣の街へ移動するだけでも長時間を要します。移動手段は、車やバイク、あるいは、馬やラクダなどの動物です。道中、いきなり穴が空いていたり、凸凹だったり、さらに冬は氷点下30度くらいまで冷え、路面も凍っています。

やはり、そのような環境では事故などで転倒する人が多く、骨折や脱臼などのケガで困っている人が多いという現状がありました。

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二つ目の理由は、医療インフラです。

日本では当たり前に思っていることも、海外では通用しないのは現実です。当然、ケガをしても近くに病院なんてありません。救急車も5分で到着しません。そのため、より簡潔な医療物資で、より迅速に、より的確な応急手当からリハビリまでを行う必要があります。

現在の日本では、同じ街に、地域に、何件も病院があり、そこではレントゲンや手術の設備機器が揃っていて、その各フェイズで、医師、看護師、臨床検査技師、診療放射線技師、作業療法士などの担当者が医療を提供しています。

しかし、柔道整復師は、たった一人で完結してしまいます。骨折を脱臼を捻挫や打撲を、たった一人で、応急処置から鑑別、治療やリハビリまでをしてしまう。もちろん、重症のケースは病院へ紹介します。しかし、重症以外の大半のケガに対して、発揮される柔道整復師の能力は、世界的にも唯一無二の素晴らしい医療技術だと評価されたのです。

 

まだまだたくさん理由はありますが、この記事ではここまでとさせていただきます。

 

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世界を志した動機

当時、私はまだ20歳くらいの学生でした。ある日、一人の大先輩に出会いました。

学校のOBである大先輩の先生がモンゴルでの活動に参加していて、そのご講演を聞いたのです。ただ、その時の内容はほとんど覚えていません。しかし鮮明に思い出せるのは、大先輩のキラキラした笑顔でした。私の心が動くには、その笑顔が一番でした。

それからはずっと無我夢中でした。まだまだ若者で、実力も自信もない私が選ばれた意味は、きっとこれから自分の生き方で証明しなければいけないと思っています。

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選ばれてから渡航まで

日本の柔道整復師は約6万人以上になります。派遣に選ばれるのはたったの3人、その他、プロジェクトマネージャー、チーフマネージャーの計5人が渡航し活動しました。

正式な派遣が決まってからはプレッシャーもありましたが、とにかく必死で、知識の整理やスキルアップだけでなく、モンゴルについて学ぶ日々を過ごしていました。たとえば、数少ないモンゴル語の先生を見つけ、頼んで仕事終わりにレッスンも受けました。

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モンゴルでの活動

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ドルノゴビ県までの移動

私が派遣された期間は1カ月。最初は、モンゴルのドルノゴビ県のサインシャンドという街に行きました。ゴビと言うだけあり、世界で4番目に大きいゴビ砂漠があり、とても乾燥した地域です。観光はしていないのですが、恐竜の化石の発掘地のようです。

空港のある首都ウランバートルからは、車で1日くらいかかりました。道行く中で、たくさんの大自然や動物に出会い、私にとっては目の前に広がるすべてが新鮮で、移動が退屈と感じることは全くありませんでした。

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バグ医師への講習

現地に着くと、保健所を拠点にバグ医師に講習をします。派遣に選ばれた3人で講習を担当したのですが、私以外の2名の先生はとても頼もしく、たくさんのことをアドバイスしていただいたり、勉強させてもらいながら、私もバグ医師に柔道整復術の理論や実技を伝えました。

受講者は驚くほど意欲的でした。その積極的な姿勢に、モンゴル国のパワーを感じました。もうひとつ驚いたことは、女性が多いということでした。日本の医師は、男性が多いイメージがあるので、女性が活躍していて、明るい雰囲気がありました。

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指導者育成のモンゴル人

本プロジェクトは、モンゴル人の指導者を養成していました。ちょうど、私と同じ年くらいの男女4人の指導者候補生がいました。彼らは、私よりも長くプロジェクトに関わっており、本当に勉強家で、尊敬できる人たちでした。そして、日本での研修も経て、自ら講義もできるくらい、柔道整復術の知識や技術を吸収しています。また、日本語も話せ、通訳をしてくれたり、私もすぐに彼らと仲良くなりました。今でも、最高の親友だと思っています。

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求められる日本の技術

モンゴルに日本人が来ていることは、とても珍しいことで、また親日でもあります。ですので、私たちは、とても好意的に接していただいたし、私もその期待に応えたいと頑張りました。たとえば、バグ医師だけでなく、警察署へ行き活動したり、よく食事をしていたレストランでも活動したり、多在中は少しでも自分のできることをモンゴルの人たちのために、という思いでした。

その気持ちが伝わったのか、柔道整復術の技術もしっかり伝えることができ、さらに報告会では、会場がいっぱいになるくらい本当にたくさんの街中の人が集まってくれたのが、嬉しかったです。

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モンゴル国立医療科学大学

ドルノゴビ県シャインシャンドでの活動が終わり、首都ウランバートルへ移動しました。そこは、モンゴル国で最も大きい医科大学があり、次にそこの看護学生に講習を始めました。やはり、その学ぶ意欲や吸収力などに感銘を受け、講義が進んで行くに連れ、その学生たちの聡明さに驚き、数日間でしたが愛着まで湧いていました。

学生だけでなく、大学の教授たちも柔道整復術に関心が強く、モンゴル国の主要人物までもがこのプロジェクトに対して高い評価をしてくれました。次第に、とてつもない大きなプロジェクトに関わらせてもらっていることに、私は心から気づかされ、またその気づきは想像を超えるものになりました。

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プロジェクトの成果

結論から言うと、その年、モンゴル国立医科大学に柔道整復学科が誕生しました。これは、新しく海外で柔道整復師が育ち、医療の一翼をになっていくということです。もう今では、モンゴルには接骨院があり、日本と同じように、毎日、多くの国民を助けています。

これは、何年もかけて先輩たち(侍たち)が、モンゴル国のために心から貢献しようと活動してきた素晴らしい成果であり、私もその奇跡に立ち会え、その凄まじい柔道整復師の心(武士道)を改めて感じ、同時に日本の誇りだと感じました。

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あれから数年を経た私

貴重な経験で成長させていただいた私は、現在、和歌山市で接骨院をしています。そして、今でも県内外にさまざまな研修に行き、努力を続けています。また、地域でスポーツ団体を立ち上げ、子供たちの育成や高齢者の健康に貢献し、より良いまちづくりを目指しています。

目の前のことを、目の前の人たちを、ひとつひとつ利他の精神で取り組んでいきます。その積み重ねや延長線です。だから、できるんだと考えます。いつか自分の力で、もっともっと誰かのためになれるんだと信じて、目指します。

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